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インタビュアー(以下イ): では、本日は、「信頼を得ながら人をまとめるリーダーに必要な条件」について教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 

鬼丸昌也: はい。信頼を得るリーダーとし必要不可欠な要素ですね・・・
それには、まずリーダーってなんなのかっていうところから考えてみたいと思います。

 

リーダーって日本語に訳せばそのまんまで、リードする人、つまり導く人ですよね。では、何を導くのかって考えたときに、まずみなさん、私も含めて思いつくのは、周囲の人を導くっていうこと。

 

つまりある一定の目標を達成するために、自分以外のものや人を、ある一定の目標に向かって導いていく役割っていうものですよね。

 

もうひとつ、僕、リーダーとして大事な役割とも言えるし、定義とも言えるものがあって、何を導くかっていうときに周囲だけじゃなくて、自分自身を導くのもリーダーにとって大事な要素なんだと思うんですよ。

 

これはlead the self(リード・ザ・セルフ)っていうんですけども、要は、端的に言うと自分を導けない人は人を導くことって難しいと思うんですよね。

例えば、じゃあ、リーダーから「これしなさい、あれしなさい」って言われたときに、リーダー自身が、言っていることと全く逆のことをやってたら、その指示に心から従おうとか、納得はしないですよね。本気になってそれを達成しようとか動こうとか思わないじゃないですか。

 

というように、自分自身もきちんと自分の目指しているものとか自分が意図しているものに導けている人、もっと言うと自律、自分を律することができるっていうところが、まず最低限リーダーとして、信頼を得るリーダーとして必要不可欠なんだなっていうふうに僕は理解をしています。

 

イ: もう少し詳しく「自分を導く」ということについて教えていただけませんか。

 

鬼丸昌也: 例えば、自分のビジョンとか自分のミッションに自分の心とか、思いとかを導いていくのもlead the self(リード・ザ・セルフ)ですよね。

 

なぜかと言うと、周囲の今の役割とか、役職、肩書きの中では、例えば、こういう自分の勤めている会社をこんなふうに変えたいとか思うと、でも今の自分の肩書きや権限ではできないと思ってしまって、そこで諦めてしまうのが、常ですよね。

 

そうではなくて、つまり、自分自身がこういう会社にしたいとか、こういう組織に変えていきたいって願いに注視してやれば、つまり、自分の今の気持ちや思いを自分の目指しているもの、ビジョンやミッションですよね、自分の願っているものに常に導くことができれば、じゃあ、今の自分だったら、今の権限の中だったら何ができるんだろうかとか、つまり、その今持っている自分の条件にとらわれずに、その理想、つまりビジョンやミッションに向かって自分を動かすことができるんだと僕は思うんですよ。

 

つまり、まずは、自分の今の条件にとらわれることなく、自分の気持ちや思いを常に自分のビジョンやミッションに進路を合わせること、これがつまり自分を導いていくことのひとつであると。

 

次に、自分のミッションやビジョンを実現するために、日々それに必要な行動を取り続けるように自分を導いていくこと

 

例えば、もしそのビジョンやミッションを実現するのにある一定の資格が必要だとしたら、その資格を取るためには毎日勉強しないといけないですよね。でも、今日やって、明日休んで、明後日休んで、じゃあ、それは資格取れるかって言うと、まあ通常、よっぽど頭いい人じゃない限り無理ですよね。

 

日々、勉強しなきゃいけない、テキスト開いて、問題を解いて、答え合わせをして、分からなかったら辞書で調べて、こういう淡々とした行為を繰り返して、繰り返して、繰り返して、繰り返して基礎知識が高まって、知識を得て、試験に合格して、その資格を取って、その資格を取ることによって、その資格を活かしてさらに行動し、自分のミッションやビジョンの実現に近づいていくわけじゃないですか。その日々の淡々とした行為ってどうしても諦めがちだし、嫌になっちゃう。

 

でも、自分のビジョンやミッションに自分自身の思いを忠実に常に導くことができれば、そのビジョンやミッションに必要な行動もおのずと取れるようになるはずだと思うんですね。

 

で、その姿を、周囲の人が見ていると、あ、この人は今呼びかけようとしているビジョンやミッションに対して一貫性があると、もちろん不十分なところがあったとしても、いたらないところがあったとしても、これだったら、その人が自分で掲げている、ビジョンやミッションにその人自身が忠実なんだと、一貫性があるんだと行動や姿勢で示すことになります。

 

それによって周囲が、この人はリーダーだと思うようになるんだと僕は思うんですよね。

 

だからこそ、リーダーとしてまず必要なのは、自分を導いていくこと、何に導くかと言うと、自分がどうしても実現をしたいこと、しかもそれは自分の欲だけじゃない、公のために尽くす志とか理想ですよね。英語で言うとビジョンやミッションです。そこに自分を導いていく、そのlead the self(リード・ザ・セルフ)があっていいんだと思います。

 

イ: 今までのリーダー像や、強いリーダーシップとか言われると、なんか「牽引する」「引っ張る」みたいなイメージがあるじゃないですか。今の話だと、周りの人よりも、まずは自分を導くことによって、自然と周りの人も導ける。導くというか、巻き込むというか。

 

鬼丸昌也: 巻き込まれますよね。

 

大事なことって周囲が自発的に動くかどうか。リーダーが指し示した、もしくは、チーム全体で指ししめた目標に対して、リーダーだけじゃなく、周囲が自発的に行動を起こし、共にそのビジョンやミッションを実現するために、動き始めることが大事ですよね。

 

なおかつ言うならば、そのビジョンやミッション、目標に向かって、リーダーだけが120パーセント頑張ってもだめで、周囲の人間、つまりフォロワーが自発的に、つまり自分の役割を精いっぱい果たそうとか、こんなアイディアがあるよね、こんな改善ができるよねって自発的に自主的に動き始めたときに、そのフォロワーの能力を100パーセント活かしてもらえれば、チーム全体としての能力が上がり、リーダー1人が100パーセント最大限やりきる以上のことができる。

 

ということは、何が言いたいかと言うと、目標に対して、より早く達成することができるし、より大きな目標を達成するために大事なのは、フォロワー(周囲にいる人たち)が、自発的に動くことが大事だと思うんですね。

 

人が動く5つの要素があって、1つが恐怖。次がお金、次が権力(権威)。次が共感、次が納得なんです。例えば、今までのリーダーシップのタイプは、型が権力、権威ね。これはある意味仕方がないというか、必要な部分もありますよね。リーダーが言うからとか、課長が言うから、社長が言うからって、これは組織なんで仕方がない部分もある。

 

でも、権力を使っていると、もっと強い権力から言われた場合、みんなそっちになびきますよね。課長がこう言っているからやっているけど、次に社長が違うことを言い始めると社長の方を聞きますよね。

 

例えば、お金だったら、お金で人は動きますよ。でももっと高いお金出してくれたら、そっちになびきますよね。例えば、暴力でも人は動きますよね。だって痛い思いしたくないから、怖い思いしたくないから。でももっと力のある人、つまり暴力を振るう人が現れたらそっちに動いちゃうかもしれないよね。極論言うと。結局、これらは単発的なものなんですよ。しかもフォロワーから見ると自発的じゃなく、他発性である。

 

でも納得、つまり共感や感動っていうものは、永続するし、権力に比例しない。例えば、社長がいくら言ったって、この課長が言うんだったら着いて行こうぜ、だって課長が示しているビジョンやミッションが感動するし、その課長がビジョンやミッションに向かって実現しようとしているプロセス自体がすっごいかっこいいし、憧れるんだよねってなるかもしれない。もしかしたら、課長のために、社長を説得しよう、という動きなんかも出てくるかもしれない。

 

だから一緒に着いて行きたいんだよねって思う人たちって、誰が何を言おうと、どんなに高いお金を積まれて転職を示されたって、まあ、極端な場合、暴力でもしかしたら脅されたとしてもね、そのリーダーに着いて行こう、動こうとするじゃないですか。しかも自発的に。

 

いっぱいいろんなアイディアを出して、そのリーダーが示しているビジョン、ミッションに向かってチーム全体として突き進めるようになるんですよね。そういう自発的な動きを引き出していくためにおいても、このリーダーがlead the self(リード・ザ・セルフ)、自分のビジョンやミッションにどこまで忠実なのか、そのビジョンやミッションに己の思いや姿勢や行動を導き続けているのか、っていうところが大事なんです。

 

そういうリーダーは周囲に感化していくんです。指示や命令だけでなく、その人の姿勢や行動を見て周囲がおのずと導かれていく、そうすると、lead the othersで、周囲が導かれていく。そのとき初めて本当のチームができるんだと僕はまず思うんです。

 

だからまずは信頼を得るリーダーとして、必要不可欠な要素をひとつだけ挙げるとするならば、まずは自らを導くこと、自らを導き続けるっていうこと。そういう視点、そういう素養がまずリーダーとして大事だと思います。

 

完璧や完全なリーダーじゃなきゃいけないのか?

鬼丸昌也: その上で、じゃあ、完璧や完全なリーダーじゃなきゃいけないんじゃないかって思っちゃいますよね。

 

例えば、自分のビジョンやミッションに自分を導き続けるリーダーって、それは言葉聞いただけだったら凄そうじゃないですか。毎日、自分のビジョンやミッションに導き続けるんですよ。そんなの恐ろしいですよね。僕でも無理です(笑)

 

だって家庭のこともあるしね、悩み事もあるしね。いろいろあるじゃない、心配事って。あると思うんです。とすると、それこそ一部の精神力が強い人じゃなければリーダーになれないのかって話、今の話だけ聞いたらありそうじゃないですか。

 

そこでもうひとつ大事なのが、信頼なんだと思うんですよね。信頼には2つあって、1つ目は自分への信頼。もう1つが周囲への信頼。

 

信頼って言葉を考えるときに大事なポイントがあって、漢字で考えると面白いと思うんです。「信じて頼る」から「信頼」でしょ。まず信じるんですよね。まず自分を信じるんです。自分を頼るんです。自分にできること、自分の能力を過小評価せずに、だから、ここで大事なのは自分なんてって思わないこと。

 

私は権限がないからできないとか、私は、例えば、経験がないからできないとか、自分を過小評価しないこと、自分を正当に評価したらいいと思う。だってできなくて当たり前なんだもん。だってやったことないことなんだから。

 

周囲のリーダーだって、例えば、ある大会社の社長さんだって、たくさん会社経営しているけど、最初は1社からしか経営していないでしょ。いっぱい失敗したはず。それでいいんです。いいと思いませんか?

 

今の自分をきちんと正当に信じて頼る。で、もっと言うとすねないこと。人間すねるんですよ。私なんてこんなだから、できないのよ。あの人だからできるんだわとか。これって自分にすねてる。これをきちんと排除すること。

 

そのためには、自分を信じること。なので、ささやかな一歩でいいから、踏み出した自分をちゃんと褒めてあげること、認めてあげることが大事と思います。

 

そしてさらに、ここは矛盾するんだけど、その上で自分にできないことをしっかり認めることですよね。自分を否定して、何もできないって思わずに、自分にできることをまず見つけること。

 

できないことを数えるんではなく、できることに着目すること。まずは強みを見て、強みを引き出していくこと。

 

と、同時に「自分にはできないこともあるよね」と、できないことも認めるんですよね。できないことを、もちろんできるようになることも大事なんだけど、できないことを隠したりとか、無理やり背伸びをする必要性はないと思う。そこで何が出てくるかっていうと周囲への信頼、できないから他人が関われる、周囲が関われるんだって思ったらいい。

 

イ: なるほど。他人が関われる、周囲が関われるのは、自分ができないから・・!

 

鬼丸昌也: そうです。そうです。確か、アメリカの鉄鋼王と呼ばれたカーネギー、あの『カーネギーホール』の名前にもなったカーネギーさんのお墓には確かこう書いてあって、『自分より優れた者を周りに集める術(すべ)を知っていた男、ここに眠る』って書いているそうなんです。これすごくないですか?

 

イ: すごいすごい。

 

鬼丸昌也: カーネギーは鉄鋼王だったし、いろんな業種の仕事もした。いろんな仕事をしたんだけど、自分よりも優秀な人をつかうことに長けていたんですよ。だから、未だに語られるわけじゃない。ビジネスマンとして。

 

イ: それって自分より相手が優秀だよってことをまず認めないとできないですよね。

 

鬼丸昌也: そう。できないのよ。しかもまず相手を信頼、任せないとね。

 

イ: 自分の方ができるって思ったらやらせられないですよね・・・

 

鬼丸昌也: そうそうそう。信じて頼って任せてみるから、周囲が自発的にさらに動き始めるわけでしょ。もちろんできないことはフィードバックしなきゃいけないし、でも、最初に話したけど、lead the self(リード・ザ・セルフ)で、自分が自分のミッションやビジョンに忠実であり続けたら、周囲はおのずと同じ目標を見始めるわけじゃないですか。

 

しかもなおかつ、能力的に自分より優秀だったら、どんどんいろんなことをやってくれる。ビジョンやミッションにみんながぶれていなければ、そのチームは自発的に自分の力以上のことをやってくれるわけだから、成果は最大マックス、もしくは想定以上にでるわけなんですよ。

 

だから、信頼、まず自分を信じること、自分を過小評価していたら人を任せられないもん。こんな私が人を動かせるなんて思わないと、人を巻き込んでいいんだろうかって逃げちゃうからね、そうじゃないよ。自分は自分で素晴らしいんだと。

 

イ: なるほど・・・聞いていて「自分への信頼」というのが、この「自分がこのミッションを掲げていいんだ」と思うことにも繋がるのかなってちょっと思いました。

 

鬼丸昌也: あー。それもあるかもしれませんね。ミッションやビジョンって、なんて言うんだろう、あったときに生き方が変わるかもしれないけど、どんなものでもいいんじゃないですか。ただそれに社会性があるかどうかっていうのが最終的には大事になってきますよ。独りよがりの自分の欲だけを満たすものじゃなくて、社会性が加わればいいと思うんだけど。最初は自分の欲だけでもいいと思うんだよね。そこに社会性、要は人に対する貢献や社会変革の良さが加わってきたら、みんな応援し始めるもんね。

 

イ: それこそ、ミッションやビジョンを持ちました。最初は自分の独りよがりかもしれませんが、まずは持ちました。それを周りに伝えます。そうやって自分が発信することによっていろんな情報が集まってきたりとかして、自分の中ででさらに熟成されて、変化をしていく。それこそがビジョンを成長させていくというか、そういう感じですか?

 

鬼丸昌也: そうそう。話には脱線するかもしれないんだけど、僕が発行しなくなったメルマガってまだあるんですけど、それが夢に栄養って言葉なんです。僕が大好きな言葉があって、夢にも栄養与えないとしぼんじゃうんですよ。夢も進化している、進化する。

 

それは極論言えば、夢が変わってもいいし、もっと言うと人は成長すると、夢がどんどん色がついていく。だからなんていうのかな。夢やビジョンがテレビだとすると、昔の白黒テレビから人がどんどん成長していくたびに、夢、ビジョンってカラーテレビになって4Kになって、次3Dになって、4Dになっていくわけですよ。立体化していくわけ。

 

僕はそれでいいと思うのね。だっていろんな経験をしていくからこそ、自分の夢が志になって、ビジョンになって、ミッションになって、命を使ってでもやるべきことに進化していく。最初から持つっていうのはちょっと難しいかもしんない。だからどんなものでもいいだと思います。

 

例えば、頭が良くなければ素晴らしい理想を描いちゃいけないとかそんなことは決してなくて、誰もが理想を描いていいし、ビジョンを描いていいし、ミッションを描いていいんだと思うんです。それにふさわしい人だからね。そう思います。

 

だからまず自分を信頼すること、自分を頼ることから始めてみる。そうするとできること、できないことが見えてくる。自分を諦める意味でのできないことじゃないですよ。自分を客観的見極められるようになるからね。そのできないことにたくさんの人に関わってもらえればいいし、もっと言えば、できることすら人に任せられるようになる。そうすると、より自分はもっと違うことにチャレンジできるし、夢としてもより大きなことができるようになる。

 

だからまず大切なことは、繰り返し申し上げた通り、lead the self(リード・ザ・セルフ)で自分を、つまり、自分の気持ちを、心を、行動を、姿勢を、自分の掲げた理想や夢、志、ビジョン、ミッションへ向かって導いていくこと

 

そうし続けていると、周囲の人がこの人は本気なんだな。この人は自分の掲げたビジョンやミッションに一貫性のある行動を取っているな、つまり信頼ができるなと認識する。そうすることで、周囲がこの人をリーダーだと認めるようになるんですね。

 

その上で、リーダー自身がじゃあ何をすべきかって言うと、まず自分を信頼すること。「不十分でいいんだ、不完全でいいんだ」「自分は自分なりのリーダーシップの発揮の仕方があるんだ」「自分なりのリーダーがあるんだ自分は自分のビジョンやミッションに対しては誰よりも、忠実なんだ」それらさえ認めていれば、不完全であっても、周りはその不完全さを支えようとするんですね。だってそれがフォロワーの役割なんだから。

 

その上で、自分のできないこと、自分のやれないこと、自分の苦手なことをどんどんさらけ出していくことによって、周囲がそれを支えてくれるようになる。そこに信頼と感謝を持っていけば、それはチームになっていく、つまりひとつのビジョンやミッションに対して、不確実な中に、複数人で取り組んで成果を出していくチームになっていくんだと思います。

 

イ: 確かに、自分がフォロワーだと考えたときにも、完璧だから着いていくってわけじゃないですもんね。

 

鬼丸昌也: 完璧だったら面白くないでしょ。だって自分の役割果たせないもんね。

 

イ: そうですよね。自分の発揮するところがないですもんね。だったらその人一人でやってたらいいじゃんって思いますし。

 

鬼丸昌也: そうそう。なんでチームを組むのかってことだから。

 

イ: そうそう。そして、できないってところも全体ではなくて、例えば数字が苦手とか、不得意とかそういうのがあれば、他に得意な人がいれば、それをやってもらえばいいし、というようなことですよね。ジャンルがあるというか。

 

鬼丸昌也: 役割ですよね。その人が果たしたほうがいい役割。そのビジョンやミッションを実現する上において、その人が果たした方がビジョンやミッションを実現や促進するために、効果的と言うか、成果を上げやすいというか、そういう役割を果たしてもらうってことだよね。

 

イ: 周りの人に、それぞれに。

 

鬼丸昌也: そうそう。それぞれの能力に応じてね。

 

イ: 確かに。チーム全体でビジョン、ミッションを達成することが目標であるから、だからじゃあ、誰がやったほうが一番効率的であったり、一番早く達成するだろうか、ということですか?

 

鬼丸昌也: それをリーダーが見極めるってことね。それが適材適所って言葉に表されると思うんだけど、リーダーが自分の不得意、もしくは自分の役割を見極めた上でじゃあ、この部分をこの人に手伝ってもらいたいな、このチームの中のこの人に担ってもらおうとか、そうするとこの人の成長に繋がって、チームが掲げる目標の達成やビジョンやミッションの実現に向かって、より効果的であると、リーダーが冷静に判断できるようになるはずですもんね。

 

イ: その見極める力を身に付けるにはどうしたらいいんですか。

 

鬼丸昌也: まあひとつ経験ですよね。失敗した方がいいと思うしね。人に適材適所を配置するようにしてもそれはうまくいかないことだってあるし、うまくいかない経験はたくさんしたほうがいいだろうし・・・。

 

もうひとつはちゃんと見ること、リーダーとしての自分の得意、不得意をしっかり見極め、周囲のフォロワー、チームメンバーの得意、不得意を見極めつつ、メンバーが何をしたい、どんな役割を果たしたいと思っているのかちゃんと見極めること、その上で適材適所に配置をしていって試していくこと。その役割を果たしているフォロワー、チームメンバーにフィードバックをきちんと与えること。その繰り返しでしかないと思うんですね。だから大事なことはまず見るっていうこと。観察をしっかりするということ。なんだと僕は思います。

 

イ: 鬼丸さんが観察することで意識していることとか、ポイントとかあるんですか?

 

鬼丸昌也: 僕の場合は、今遠隔なので、つまり、事務所が京都にあって、僕1人だけが東京なんですね。なおかつ、講演や営業が多くて、出張が多いとしたときに、直接会って話を聞くことが難しかったりするんですが、本来だったら日頃日常、同じところで働いているんだったら、通常の声掛けの方がいいと思います。

 

普段面談の時間を取ること、例えば月1とかで個別面談を1時間取ることも大事なんだけど、「今日どうしたの?」とか「ちょっと顔色悪いね?」とか、個別の声掛けや、普段からの声掛けをすることも大切だと思います。

 

普段、事務所の中にいるときに、彼はどういうふうに働いているのかなとかいうのをふと時間を取って見てみたりするのが一番いい。ただ、私の場合はできない。物理的にできない。遠隔地の場合、できないときは、それこそスカイプにしろ、電話にしろメールにしろ問いかけることが大事だと思っています。「最近どうかな?」「この部門どう?」とか問いかけることをより意識してやること、つまり例えば回数を決めて、必ずメールや、それからスカイプの面談を入れるとか、問いの質を高めるために、コーチングを習うとかでもいいかもしれないですね。

 

僕の場合は、できるだけ多く質問をする。で、ノートに記録をして、次回の例えばスカイプでの面談のときにどうだったかなってそれを振り返ってみて、忘れずにもう一度問い直すこと。その変化を確認する。前回のミーティングと今回のミーティングで同じ質問をしたときにどう変化したかとかを記録していく。

 

イ: 確かに。例えば、「顔色が悪いね」という声掛けをするためには、1個の基準があるから違いや変化が分かるじゃないですか。その変化を見る、違いを見つけるっていうところが大切なのかな、と思います。このメンバーは、この業務は効率が良さそうだとか、好きそうだ、とかを心に留める。そしたらその次のときに見たときにどう変化しているか、みたいな、その二つがあるからこそ、気付けるところがあるということなのかなって思います。

 

鬼丸昌也: だと思います。だから定点観測するってことじゃないですか。人に対しても。自分に対してもそうね。だから僕の場合のノートを開いて自分がどう考えているのかっていうのを同じ質問を繰り返しやって振返ります。そのノートを見れば、どういうふうに変化しているか分かるじゃない。そういうのをやったりとかしますよね。

 

あと、少し話飛びますけどね、ある経営コンサルタントの人は自分の会社の中で、どの人に声を掛けたっていうかを、その回数を手帳に書いているんですって。平等にかけているかどうか。案外、平等じゃなかったりするからね。それを正の字で書くんですって。それを今日はAには10回掛けたけど、Bには5回だったな。明日は気を付けようとしていらっしゃっている社長さんがいると聞いたことがあります。僕はやっていないけど、でもそういうのもひとつの手だと思います。つまり、相手を観察する、観察する上においては、記録をするっていうことはひとつ意識できることかもしれない。

 

イ: なるほど。

 

鬼丸昌也: 記憶よりも記録かもしれないね。それはね。うん。そう思いました。

 

イ: そうですね。なるほど・・・。では最後に、鬼丸さんはどんな人から、「リーダー」ということだったり「リーダーシップ」を学んでいるか、教えてください。

 

鬼丸昌也: リーダーとか、リーダーが持つべきリーダーシップを学ぶ上で、僕一番いいのは、先人たちに学ぶことだと思っています。先輩、もしくは同世代であったとしても、後輩であったとしてもリーダーとして尊敬できるって人の、事例をたくさん知ることだと思うんですね。人はモデル学習だから。僕はそう思うんです。例えば、歴史上の偉人で言うと、米沢藩第九代藩主の上杉鷹山なんかは、すごく僕は小さいときから影響を受けたリーダーです。

 

例えば彼は、九州高鍋藩、九州宮崎の高鍋藩3万石から、米沢藩へ、しかもなおかつ上杉謙信から続く名門上杉家に婿入りをするわけですから、今で言う逆玉ですよね。でも実際上杉家、米沢藩を継いでみると、16万両の借金があって、非常に藩の士気も低くて、絶望的な状況だった。

 

その中で彼は、江戸から米沢に入るときに、峠を越えて、領内を見たら雪景色で非常に灰色に見え、この藩に希望があるんだろうかと思った。そのとき、ふと籠の中にあった、火鉢に注目すると、炭の火が消えかかりそうになっていたのでそこに息を吹きかけると火種がまた赤々と燃え続けたんです。そして、その火種が新しい炭に火が付いていく、広がっていく様子を見て、この米沢もこうじゃないかと思ったわけですね。

 

つまり消えかかっているような火鉢の炭のようかもしれないけれど、でも確実に火種、つまり可能性というものはここにある。その可能性というものを、先ほど話したように、どう信頼するかなんだ。信頼をしてそれに息を吹きかけるのがリーダーの役割なんだと、上杉鷹山は悟ったわけなんです。

 

その当時のことを72才に亡くなられるまでやり続けた。それで亡くなった数年後には借金を米沢藩は返し終わって、さらに5000両の蓄財ができていた。そのふうによって組織を変えてきた実例があったりする。

 

で、彼から学べることは、まずその人々の可能性を信じる。何より自分の可能性を信じていたんだと思います。藩を継いだとき、確か19才ですよ。僕らが19だったときのこと考えたら、何をしてたのかなと思うんですけども、でも、それでも彼は、幼い、青年の頃であったとしても、自他共に信頼し、藩を変えていった。組織を変えていったっていう事例を彼から学ぶことができますよね。

 

他の事例で言うと、『海賊になった男』っていう小説で有名になりましたけど、出光興産創業者・出光佐三なんかまさにそうで。彼には大きな弱点があって、字が読めないんだと。もともと弱視で字が読めない。目がなかなか見えない。確か柳の木の汁か何かが目に入って、それでいっそう目が見えなくなったのかな。で、集中もできなくて、本が読めないんだと。

 

でもその代わり彼こういうふうに言っているんですけども、「だから俺は考えるようになった」、彼は本当に深く考えるんですね。なぜなんだろうとか、どうしたらできるんだろうとか。だから石油、灯油、重油の販売をするときに、陸地は縄張りがあるから売れないということの直面したとき、だったら関門海峡で売ろう、関門海峡だったら境目ないでしょみたいな。屁理屈っちゃ屁理屈ですけど、彼にとっては考えた結果ですよね。

 

じゃあ天下の満州鉄道に重油を売ろうと。そのときのネックは何なのか。この満州鉄道に車軸油を売るためにどうしたらいいんだろうと考えて続けるから、じゃあ車軸油が凍るのが満州鉄道の最大のリスクで、このリスクさえ取り除ければ、僕ら新興集団、新しい集団でも買ってもらえるんじゃないだろうかっていうことで、凍らない車軸油、油を開発するために、鋭意やってきたわけですよね。

 

他にも、日章丸事件と言って、イギルスやアメリカがイランに制裁を加えたそんな中でも、国民の生活のためにも石油を確保するんだと、そのためにタンカーを出し続けたと。みんなびびってしないわけですよ。でも彼はやったんです。なぜかというと、彼は自分のミッションやビジョンに忠実だった。lead the self(リード・ザ・セルフ)があった人間なんです。

 

自分を導き続けたから彼はぶれなかったんですよね。ぶれなかったからこそ、何をしたかって言うと、あらゆる手段をし尽くしたんですよ。人ってぶれるから、どう思われたらいいんだろうとか、自分のことがどうだろうって、何もやらなくなるんです。

 

でも彼は自分のミッションやビジョンに忠実だったからこそ、lead the self(リード・ザ・セルフ)がしっかりしていたからこそ、人から見れば変わり者だと言われるかもしれないけど、いろんなことをやり続けてきたんだと僕は思うんですよね。

 

こういう先人たちの姿を見るとまさに、上杉鷹山にしても出光佐三に関しても言えるのはlead the self(リード・ザ・セルフ)、自分を導いていった。最初から導いていったとは思いませんよ。

 

でも上杉鷹山にしても、尊敬できる細井平洲っていう儒学者との出会いや、周囲の同士たちからの影響を受けて、その志を練り上げていった。それは出光佐三にしても、学生時代出会った、確か神戸商業高等学校で出会った先生が、金の奴隷になるなと。卑しくなるなっていうことを教えこまれたから、商売の王道を歩もうと思うようになった。

 

そうやっていろんな師やいろんな友との出会いが自分のミッションやビジョンを、夢を志に練り上げていった。個人の夢に社会性を持たせていったとも言えると思うんです。

 

だから、僕らはここで学べることは、完全じゃなくてもいい、ということ。不完全、出発点は不完全でいいし、プロセスも不完全でいい。不完全だからこそ師に学ぼうとするし、友を得ようとするし、ですから友からいろんなことを学び、自分の夢やビジョン、夢を志に練り上げていく過程において、たくさんの人が関わってこれる。たくさんの人がサポートしてくれる。たくさんの人が自分のビジョンやミッションを共に実現しようと動き始めてくれる。

 

そうやって米沢藩は変わったし、出光商会は未だに出光として続いているわけじゃないですか。そんな事例って実は腐るほどあって、そこに触れることが自分の中のリーダーを、リーダーシップを強くしてくれる。自分のリーダーとしてのあり方をより良く成長させてくれるんだと、僕はそんなふうに思います。

 

 

もうひとつは我々の支援の受けての人たちと出会ったこと。カンボジアの地雷の被害者とかアフリカ、ブルンジ、コンゴ、ウガンダの元子ども兵士、紛争被害者と出会ってきたことが大きかったんです。

 

例えば、ある元子ども兵士なんかは、ウガンダの反政府ゲリラに誘拐をされて過酷な体験をさせられるわけですよね。その体験っていうのは心のトラウマとしてなかなか抜けない。忘れることもできないって、非常にそれにいまだに苦しめられている部分もあると。

 

他にも、子ども時代に兵士にさせられていたから、文字が読めなかったり、計算が分からなかったり、様々な、いわゆる、僕らが考えると課題を抱えているわけです。しかもトラウマなんかは一生掛かっても消えるかどうか分からないものを抱えている。大きな課題を抱えているんです。大きな問題を抱えているんです。

 

でも、彼らは一生懸命に生きるわけなんです。文字を学び、計算を学び、商業訓練を受け、その技術を使って店を開き、その店を開いてからも様々な困難がある。それでも彼らは、彼女たちは生きようとするわけですね。自分の子どもを食べさせるために、自分が子どもだった時代を取り戻すかのごとく一生懸命働くわけです。誰かの役に立っていることが嬉しいから。自分の得た収入を数えながら、自分の稼いだお金を数えながら、あ、これだけ私は役に立ったんだと思って自分の役割を見つめ直す。自分の存在を見つめ直す。

 

その瞬間にあったとしても、その彼ら、彼女らの課題は消えてないわけですよね。なくなったわけじゃない。でも間違いなく言えるのは、それでも彼ら、彼女たちはささやかな幸せを感じているんです。

 

何を申し上げたいかと言うと、幸せや充足感や達成感は問題がなくなったから得られるものではないということです。問題があったとしても人は幸せに生きることができるし、課題があったとしても人々は充足感や満足感を得ることができる。

 

なぜかと言うと、問題にどう向き合うかが大事なんです。そのプロセスそのものに我々は幸せを感じるんだろうと僕はそう思うんです。だから、問題から逃げる必要性はないんです。立ち止まって、目の前の問題をしっかり見つめることです。問題って何で起こるかっていうと、自分の現実と理想にギャップがある。そのギャップが問題なわけじゃないですか。

 

問題が起こるってことはしんどいし辛いです。僕だってそうです。でもそれが改善する先において、自分のビジョンやミッションが実現できる。だから、幸いなことに課題があるんです。幸いなことに問題があるんです。

 

リーダーシップを伸ばしていこう。リーダーとして成長していこうとしたときに必ず課題は起こるんです。そんなときに僕は、あの元少年兵や元少女兵士たちのことを思い出すんです。彼らは、彼らなりに、彼女たちなりに、問題と日々向き合っている。そして確実に彼ら、彼女たちは成長している。進む途中で彼ら、彼女たちは喜びを感じている。ささやかだけどね。問題に打ちひしがれて悲しみを感じることはあるけど、それでも彼ら彼女たちは前に進む。それでも自分たちを導いているわけです。

 

ここで申し上げたいのは、その元子ども兵士たちや地雷の被害者たちや講演を聴いてくださった方や僕らの先輩や仲間たちの経営者や、例えば、先ほどの先人たちを見ていて思うんだけど、リーダーシップっていうのは、権威や権力や権限に、肩書きに比例するもんじゃない。誰もがリーダーなんだと。自分を導いている限り、誰もがリーダーなんです自分のミッションやビジョンに忠実な限り、誰もがリーダーシップを果たすことができる

 

だからこそ僕は一人ひとりにリーダーシップを発揮してもらいたいと思うんです。何が起こるか分からない社会だし、みんなが幸せになる社会を実現するためには、みんながリーダーとなって、みんなが自分の人生を決め、お互いに貢献し合うような社会になれば、私たちは確実にこの社会をより良くすることができると思う。

 

つまり、一人ひとりがリーダーシップを発揮するってことは、現実からの要請なんです。問題だらけの社会をより良くするために、一人ひとりがリーダーになることが求められている時代だと思うんです。

 

その結果として、その課程の中において、一人ひとりが真剣にリーダーシップを発揮しようと決めたら、チームは良くなるし、会社は良くなると。でももっと深いところから考えると、この問題だらけの社会、現実からの要請なんだと、僕らは受け止めている。だからリーダーシップについてみんなに考えて欲しいなと思います。

 

イ: 一人ひとりがリーダーであり、一人ひとりがリーダーシップを発揮できる。まずは、自分自身へのリーダーシップから、ということですね・・!ありがとうございます!